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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 原  著

福井県がん登録乳癌の統計的検討

―罹患時の社会的要因が生存率に及ぼす影響について―

田中 猛夫

福井赤十字病院外科


福井県癌登録では、1984年から1987年の4年間に537例の乳癌症例が登録され、その5年生存率は79.5%であった。5年生存率は加齢とともに低下し、54歳迄群82.9%、55〜69歳群79.4%、70歳以上群68.8%であった。有職者群は無職者群よりも高率で、それぞれ86.7%、75.7%であった。居住地区によっても相違していて、市部群81.3%、町村部群75.5%であった。癌進展度・症状を自覚してから診断までの期間(自覚症陽性率92.4%)とこれら3要因を分析・検討し、以下の推論を得た。
 3要因は主に社会的要因となって作用し、1)低生存率であった加齢者群・無職者群・町村部居住者群では、それぞれの対照群よりも症状の自覚が遅れ、診断されたときには進展した癌となっている症例の割合が多くなっている。このことが主因となって生存率を低めている。2)加えて、無職者群・町村部居住者群では訪医が遅れる傾向を示して、悪影響を与えている。3)多変量解析による検討では、癌進展度は生死に関わる基本的要因としてきわめて大きく撮影していたが、これら3要因のうちでは就業の有無がもっとも強く関与していた。
 地域癌登録のこのような分析結果は、生物学的特性のみならず、これら社会的要因の乳癌生存率に及ぼす影響が無視できないことを示している。検診や啓蒙活動への反映が必要である。


Key words : 乳癌生存率、年齢、就業状況、居住地区、癌登録

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