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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 原  著

触診上腫瘤として触れる乳腺症の病理組織所見と超音波所見との対比

山口 利子 1)

土橋 一慶 2)

田中 文彦 3)

為近 慎司 2)

竹下 茂樹 2)

大江 英一 2)

宮崎 道夫 2)

森  宏之 2)

サン虎の門クリニック 1)
帝京大学産婦人科学教室 2)
帝京大学病院病理部 3)


 乳腺症を非観血的に診断することが可能であるかを検討することは、臨床的に重要であるため、非観血的診断法の1つである超音波診断法により乳腺症の診断がどの程度可能かについて検討した。腫瘤性病変の鑑別診断のために生検を行い、病理学的に本症と診断された例を対象に、病理組織的に複数存在する組織成分のうちの主成分を各症例につき1つ選定し、それらの超音波所見と組織成分とを対比した。その結果、超音波所見で嚢胞性像を呈した例は組織学的にも90%が嚢胞であることが明らかになった。しかしながら、超音波で充実性像、乳腺構造不整像を呈した例では、対応する組織成分を特定することはできなかった。充実性像を呈した例では腺症および線維症を主体とする組織成分が過半数を占めたが、両者の超音波所見はよく類似し、縦横比にやや差がみられたのみで鑑別は困難であった。乳腺症の超音波診断は嚢胞が主体の場合は可能だが、それ以外の組織成分が主体の場合は困難と考えられた。超音波併用検診の超音波読影を行う場合、今回の結果から、典型的な嚢胞のみのときは良性と判断して経過観察し、充実性腫瘤、乳腺構造不整、不規則な低エコー域などのときは慎重に判断し精査するべきと考えられた。超音波検査を視・触診法に併用しても、本症を非観血的に診断するのには限界があり、確定診断のためには針生検、太針生検などの観血的診断方法が必要と考えられた。


Key words :乳腺症、腺症、線維症、超音波診断、非観血的診断法

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