【目的】乳癌腫瘍の成長数理モデルを用いてマンモグラフィによる乳癌検診のシミュレーションを行い,検診開始年齢および検診間隔の違いによる乳癌罹患者の平均余命延長効果への影響を調べ,相対リスクについて計算し比較検討した。
【方法】シミュレーションにはHart (1998)らの乳癌腫瘍成長モデル,Fournier(1980)らが測定したダブリングタイム(腫瘍倍増時間)の値を使用し,乳癌腫瘍成長モデルにおける個人差や年齢の違いを考慮した。ある年齢集団における潜在的乳癌罹患者の腫瘍サイズ分布は乳癌腫瘍成長モデルから理論的に導かれる確率分布モデルを用いて,検診対象者の腫瘍サイズをサンプリングし,検診対象者を受診率,正診率,生存率に応じて確率的に分類し,生存すれば平均余命,生存しなければ乳癌腫瘍成長モデルに従い増大し,腫瘍がある大きさになるまでの年数を計算した。
【結果・考察】平均余命延長効果は,検診開始年齢40歳および検診間隔1年が最も大きかったが,その効果は受診率に最も影響を受け,正診率には影響を受けにくいことが明らかとなった。検診間隔が2年に比べ1年がより効果があるためには受診率が80%以上と高くなる必要があることを示した。相対リスクの計算結果は,正診率・受診率が80%の高率の場合で0.56となり,欧米での無作為割り付け対照試験(0.69−0.87)と同様に,50歳以上を対象とする場合の死亡率減少効果が高かった。
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